黒猫のひとりごと

日々思ったこと、感じたことを吐き出します。わっしょい。

ストレスを感じている人全員に知って欲しい「リワーク」でやること

前回のリワークの話の続き。
うつな人も、そうでない人も知って欲しい「リワーク」のこと
以下の内容を簡潔に書く。

・リワークの役割
・リワークを通した復職
・リワークで行うこと(概要・ちょっと詳細)

「リワークで行うこと」は、セルフケアとして休職していない人にも役立つ内容だと思う。社会でストレスを感じている人は、知って欲しい内容や考え方である。

リワークの役割

リワークは、参加者、主治医、職場と連携をとり、復職までの計画をコーディネイトする。基本的には、参加者が職場と連絡をとるが、場合によっては、リワークが職場と連携をとり、参加者の復職をサポートする。
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リワークを通した復職

うつ状態で、休職し、リワークを利用して復職するまでには3つの期間に分けられる。
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急性期

うつ状態がひどく、自宅休養する時期。
この時期には、リワークは受けられず、休養、服薬を続け回復を計る。回復が認められたら、主治医の合意のもとリワークが開始可能となる。

安定期

リワークを受ける期間。
病状が回復して、復職をしようとしても、医者が認める回復レベルと、職場が求める回復レベルは乖離している。そのため、その差を埋めるための職場復帰の準備をリワークを利用して行う。また、リワーク施設に電話をかけてすぐにリワークを受けられるわけではない。リワークの説明会を受け、主治医の合意、職場の合意、参加者(本人)の合意を取り付けた上で行う。リワーク中に、人によってはトラウマに触れることがあるかもしれないため、リワークのカウンセラーとも相談して、受けるかどうかを判断する。

維持療法期

復職後の継続治療期間。
リワークでは、再発防止のための技法をいくつか学ぶ。復職後は、リワークで学んだことを利用して、セルフケアによる再発防止を続ける。服薬に関しては、主治医と相談の上、継続して続けていく。

休職明けの復職は、リハビリ出社(試し出勤)を導入している会社もある。出社して、いきなり休職前の仕事量は難しいため、まずは普通に出社できるかを見極める期間として導入されているようである。リハビリ出社(試し出勤)には、後ろ向きな企業も多いため、復職前に自分の会社が導入しているかを確認する必要がある。

復職後も、施設によっては、リワークのフォローアップを受ける事ができる。定期的な情報交換を行うことで、再発防止に繋げる。

リワークで行うこと(概要)

リワークでは、身体、認知、行動に対して、うつ状態になる悪循環を断ち切るための活動を行う。

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リワークで行った活動を、スキルとして身につけることで、再発を起こしにくくする。気分に直接作用する改善は難しく、服薬等を同時に行う事で、気分の落ち込みを抑えつつ、身体、認知、行動に働きかける。これらは、うつ状態になっているいないに関わらず、ストレスを感じる社会で、自身をコントロールする内容であるため、知って損はないスキルである。

リワークで行うこと(ちょっと詳細)

リワークで、実際にやることをもう少し具体的に書く。
やることは、リワーク施設によっても違うようだが、大体こんな感じである。

グループワーク

他の参加者と病気についての情報共有を行ったり、職場や生活をテーマにして話し合いを行う。リワーク施設によっては、農業や料理などの共同作業をして、集団行動の学習も行う。共通の悩みを持つ仲間同士で支えあうことができる。自分だけではないという気持ちが、回復への原動力にもなる。

認知(行動)療法

認知のクセを知り、自分にストレスになる考え方を、辛くない考え方に変えるための活動となる。以前ブログ内でも認知療法については説明したが、コラム表などを活用することで、復職後もセルフケアでも使える内容である。
過去の関連記事:
スキーマ(思考のクセ)を知る方法 - 黒猫のひとりごと
認知療法を学んできた - 黒猫のひとりごと
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SST

Social Skills Traning(社会生活技能訓練)の略である。
挨拶や、自己主張といった社会技能を、ロールプレイを通して、社会への適応性を高める。特に、リワークに来ている方は、まじめで自分で背負い込むことが多く、言いたいことを言えない場合が多い。SSTでは、実際の場面に合わせた環境で、行動をロールプレイしてみて、認知のクセや、気分の変化を確認する。

リラクセーション

身体をリラックスさせる働きかけにより、気分をセルフコントロールできるようにする。リワークで取り扱うのは、以下の3つが多い。
・腹式呼吸
・筋弛緩法
・自律訓練法

過去の関連記事:
不安や緊張を解消するための呼吸法 - 黒猫のひとりごと
寝付きをよくするための筋弛緩法 - 黒猫のひとりごと
SEのストレス軽減にも役立つ自律訓練法を習ってきた - 黒猫のひとりごと

オフィスワーク

職場に合わせた作業を実施して、集中力の継続、疲労度・気分のチェックを行う。
復帰する職場に合わせたものを行うため、PC作業や、帳簿作業、施設によっては手先を使うような技能的な作業も用意されている。それらを通して、自分の集中力が継続することを確認したり、疲労度を確認し、適切なタイミングで休息をいられるようにする。

生活リズムの確認

生活リズムを確認し、整える指導がある。
うつ病には、生活リズムの乱れが多くみられる。不規則な生活のままだと、ホルモンバランスが乱れ、身体への悪影響が考えられる。そのため、睡眠時間、食事の時間を記録することで、生活リズムを確認し、一定になるように整える。8,9時の出勤に合わせて、施設への通所を行うことで、復職に向けての生活リズムを整える。また、通所の時間が調節できるので、自身の状態に合わせて通所できる。

セルフモニタリング

気分・体調を把握して、記録をつけたりして、自己を観察する。
これらを知ることで、気分や体調の変化を把握して、兆候や、自身のストレス原因を知る事ができる。復職後のセルフケアにも使えるため、継続して実施するとよい。また、睡眠時間や、睡眠の質を確認し、生活リズムの調整に役立てる。

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質の良い眠りのための習慣 - 黒猫のひとりごと
ストレスを知る - 黒猫のひとりごと

心理教育

うつは病気である。
その病気についての正しい知識をみにつける心理教育を行う。病気について正しい知識を対象者が持つ事で、治療やリハビリに自主的に参加するようにする。カウンセラーとの1対1の面談や、講義形式で行う。

ストレスマネジメント

自身のストレスや、ストレス対処のコーピングについて学習する。
自身のストレスを知ることで、ストレスを感じるだけの状態から、解消できる状態にもっていく。
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ストレスを知る - 黒猫のひとりごと

過去の振り返り

エゴグラムを用いて自己理解や、価値観の確認を行う。また、休職の原因やキッカケを振り返り、認知療法などを行うことで、ストレスの原因になる考え方を変える。



リワークを3ヶ月ほど受けたが、実際に受けてみて良かったと思っている。
ストレスを感じて、うつ状態での負のスパイラルに落ちいてくと、スキルを持たない自分一人で断ち切るのは難しかったと思う。リワークを受ける前と比べたら、幾分かストレスに強くなった自分を実感できている。一方で、リワークで実施した内容は、休職する前に受けておきたかったとも思う。リワークは、休職者しか受けられないが、リワークで実施している内容は、機会があったら是非受けてみることをお勧めする。

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